技術革新で働き方変化 経済の様相 (白書から) 経済財政(下)
情報化や人工知能(AI)・ロボットなどの新技術の進展が、人々の働き方にどのような影響をおよぼすのか、 議論が高まっています。
経済財政白書は、①AI等の新技術の導入によって 定型的な業務を中心に機械による代替が進むことによる影響②インターネツトを通じた業務のアウトソーシング(外部委託)の影響―などについて分析しています。
①について白書は、経済協力開発機構(OECD)諸国における雇用変化に注目。「各国において中スキル層の雇用シェアが減少し、低スキル層と高スキル層での雇用シェアが増加するという『雇用の二極化』現象が実際に観察されている」と指摘しています。(グラフ①)
技術革新は、中間層の定型業務の代替を可能としました。一方、人手が必要な労働や知的労働の仕事は代替することができなかったため、中スキルの労働需要の減少、低・高スキルの労働需要の増加が起こり、労働市場の二極化が進んだと考えられている、としています。
外部委託の促進
②については、技術革新が外部委託の拡大を促進させています。
アウトソーシングを行っている企業割合は、2010年度の66%から15年度の68%へと緩やかながらも上 昇しています(グラフ②)。製造委託以外で増えているのが特徴で、環境・防犯関連、物流関連、情報処理関係、税務・会計等の専門的な企業向けのサービスが外部委託されています。
アウトソーシングの新しい形態として登場しているのがクラウドソーシングと呼ばれるものです。インターネットを通じて単発の仕事を不特定多数の人(クラウド)に委託する方法。ギグ・エコノミーとも呼ばれています。この場合、ギグとは、単発または短期の仕事という意味で使われています。
近年、一つの企業に就職るのではなく、プロジェクト単位で仕事をおこなう「フリーランス」が問題となっています。プラットフォーム提供企業は複雑な課題を細分化して発注するため、個々の働き手が請け負う業務は安価で単純な業務となります。日本では特に事務作業などの単純作業をしているクラウドワーカ が多く、給与水準は低く っています。
法的保護の欠如
白書は「用関係によらない働き方をする者の中には、病気・出産等による休業、受注状況の悪化、廃業等などの際に公的な支援が十分に得られず、収入が途絶するリスクがある」と指摘。「実態把握と並行して法的保護の必要性」を強調しています。その一方で、企業にとって「フリーランス等の外部人材が活用しやすい環境整備を行うことも必要」だとしています。
フリーランスには、労働法規が適用されないという根本問題があります。解雇規制は関係なく、失業保険もなく、労働時間規制もありません。有給休暇も存在しません。今後、拡大すると予測される 「雇用によらない働き方」に対し、どのように法整備を進めていくのかは重要課題です。しかし白書には、この点での問題意識が希薄です。
(この項おわり)
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