安全網ない非正規ら  保護する規制必要 雇用2つの不安解消を




国際労働機関 (ILO)のガイ・ライダー事務局長は、セクハラ・パワハラ禁止条約の批准の重要性を切々と訴えた。同時に、非正規社員や個人事業主のような労災や年金など安全網から抜け落ちる働き方が日本で急増している上、せっかく身に付けた技術もすぐ時代遅れになる技術革新の速さが働く人々を不安にさせていると指摘した。「二つの不安」への対策として、安全網の再構築と「生涯学べる職業の教育・訓練システム」づくりが急務と主張した。(聞き手・池尾伸 一)

ILO事務局長インタビュー

インタビューに答えるILOのガイ・ライダー事務局長=東京都港区で

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大きな効果

― ハラスメント禁止条約で、被害は減らせるのか。

「#MeToo運動で注目を集めたハラスメント被害は、深刻な問題だ。私たちは十年以上前から条約の準備を してきた。ハラスメントは肉体的、精神的、性的 、経済的に被害を与える行為であると幅広く定義し、対象者も社員だけでなく就活生、インターンなど広く規定している。防止策だけでなく、加害者などへの制裁、被害者救済策も講じるよう各国に義務づけている。批准すれば、大きな効果を発揮する」

―批准の見通しは。

「すでに多くの国が批准したい、と申し出てくれている。 批准率は高くなるだろう。日本は最近ハラスメントの規制法をつくった。それならば、もっと国内の取り組みを前進させてほしい」

―だが経団連がハラスメント行為の禁止に慎重だ。

「ほとんどの国の経済団体が批准に賛成した。ハラスメントは加害者にも被害者にも企業にもマイナスだ。ルールに基づき適正に罰せられるようになればだれもがもっと生産的に働ける。企業にも社員にも政府にもプラスになる『ウィンーウィンーウィン』だ。経済界はいかなる形でも人を傷つける行為を許さない、とのメッセージを示すことができ、これもプラスだ」

100時間は長い

―働き方改革の評価は。

「『カローシ(過労死)』の日本語を私も知っているぐらい長時間労働は日本の文化になっている。月百時間の残
業上限を設定したのはよいこと。ただ、国際水準からするととても長く、さらに改革を進めてほしい。少子高齢化で不足する労働力を長時間労働で補おうとするのは誤りだ。残業時間を減し、暮らしと仕事を両立できる環境をつくり、女性や高齢者など多様な人が働けるようにするのが正しい対処法だ」

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―日本では非正規社員や、最近ではフリーランスなどの増加で雇用が不安定化している。

「非正規社員の増加に加え、ネットを通じて単発の仕事を受注する『ギグエコノミー』など個人事業主的な働き
手が急増しているのは世界共通の現象だ。彼らが賃金も低く、社会保険、年金など安全網で保護されていないことは大きな問題だ。彼らが保護されるよう規制を変えないといけない」

人工知能(AI)やロボットが人間の労働に置き換わりつつある。

「日本では大企業が『終身雇用制度』は無理だと言い始めていると聞く。このままでは維持できないかもしれな い。技術革新のペースがとても速いので、一つの企業に定年まで勤める働き方は将来減っていく。ここで大切なのは生涯にわたり職業の教育・訓練を受けられる仕組みをつくり、企業に資金供出の面などで新たな責任を負わせることだ。これまでは学校を出て働く順番だったが、いまや学校で身に付けた知識や技術は長くもたなくなっている。働きながら新しい知識を身に付ける仕組みが必要だ」

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