けいざい 「四季報 2017IV」 (上) 世界経済 トランプ政権が不透明要因

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ポイント
①IMFの1 7年世界成長見通しは3・6%。米国の「政策不透明」を指摘
②米国で減税法が成立。連邦法人税は35% から21%に。有害な減税競争に拍車
③FRBが今年3度目の利上げ。ECBも 量的緩和縮小の来年開始を決定


国際通貨基金(IM F)の10月時点の見通しによると、世界経済の成長率は2017年3.6%、18年3.7%と予想されます。2016年の3.2%から上昇するものの、2008年リーマン・ショツクからの回復は緩慢です。

IMFも指摘

IMFは主要国で成長 が加速しているとする一 方、「 すべての国が回復 しているわけではない。 物価上昇率は賃金の伸び の低さからしばしば目標 を下回り、中期的成長見 通しは世界の多くの地域
で依然失望させるものに なっている」と述べてい ます。

世界経済の下振れ要因 の一つとしてIMFが指 摘するのは「 米国の政策 の先行き不透明感」で す。米国の国内総生産 ( GDP)は1 7年、1 8年 とも2%台の見込み。ト ランプ政権の目標を下回 ります。同政権による大 規模な減税が財政にどう いう影響を与えるか、連 邦準備制度理事会( FR B)による利上げで世界のお金の流れがどうなるか―などが懸念されます。

大企業に減税

トランプ米大統領が選挙中から公約してきた減税法案は上下両院で可決され、22日に大統領が署名して成立しました。約30年ぶりの大規模な大企業・富裕層減税です。35%の連邦法人税率を18年 から21%に引き下げます。各国の法人税引き下げ競争が加速しかねません。日本の経団連は早速、米国にならって法人税を下げるよう政府に要求しています。

トランフ減税では個人所得税の最高税率も引き下げます。恩恵を受けるのは富裕層です。

減税規模は今後10年間で1兆5000億ドル( 約170兆円)とされます。米国の17年連邦債務 残高は過去最大の20兆ドル、GDP比108%となる見通しです。IMFによると債務は減税がなくても22年に25兆ドル膨らむと予測されます。

トランプ大統領は、減税効果もあって10年間で年4%の経済成長を達成すると主張していますが、「減税は成長に寄与しない」( グリーンスパン元FRB議長)と疑間視されています。財政赤字、政府債務の拡大は米国民の負担増となってしわ寄せされます。米国の財政悪化は世界経済にも影響します。

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緩和から脱却

FRBは13日、今年3回目となる政策金利の引き上げを決めました。中央銀行総裁にあたるFRB議長は18年2月に現在のイエレン氏からパウエル現FRB理事に引き継がれますが、パウエル氏は現政策の継続を表明し ており、18年も年3回の利上げが行われる見込みです。金融緩和終了の方向がさらに鮮明になりま す。

リーマン・ショツクから9年たち、経済危機に対応するため中央銀行がとった異例な金融緩和から米欧は脱却しつつあります。欧州中央銀行(ECB)は10月26日、量的緩和の縮小を18年に始めることを決めました。主要国中、日銀だけが大規模な金融緩和を続けています。

( つづく)

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