今こそ聞きたい TPP ISDS条項(下) 暮らしも主権も脅かす。

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投資家対国家紛争解決(ISDS)で多国籍企業が国を訴えた件数は、国連貿易開発会議 (UNCTAD)の集計によると、現時点までの累計で739件。1990年代から 急増しています。

政府に委縮効果

ISDSの仲裁(裁判)で巨額の損害賠償を請求されること自体、政府を委縮させる効果があります。あらかじめ多国籍企業の主張を考慮して政策を決めるよう圧力が働きます。

UNCTADによると、賠償請求額が判明した訴訟498件のうち最も多いのが1億ドル (約105億円)以上5億ドル未満で166件。次いで1千万ドル以上1億ドル未満が151件です。裁判で確定した賠償額は1千万ドル以上1億ドル未満が最も多く、47件、次いで100万ドル以上1千万ドル未満が35件。請求、判決とも日本円にして億単位です。

裁判が行われる仲裁機関は世界銀行傘下の投資紛争解決国際センター(ICSID)や 国連国際商取引法委員会(UNCITRAL)などです。裁判官は訴えを起こした企業、訴えられた企業と仲裁機関の三者がそれぞれ選任します。しかし、選任の対象となる法律家は、国際的な商 取引で多国籍企業のために働いている弁護士が多く、途上国などは不利な立場です。

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国内司法に優先

仲裁法廷の判決は国 際法で強制力を持ち、国内司法機関の判断に優先します。タバコの外箱に健康 に害があることを表示する義務をめぐって米国のタバコ多国籍企業フィリップ。 モリスの香港子会社がオ―ストラリア政府を訴えたケースがありました。同社はまずオーストラリアの裁判所に訴えて敗訴。その判決を無効にするために国際仲裁法廷に訴えを起こしました (敗訴)。日本の国会でも国際仲裁法廷と 国内裁判所の判断が異なった場合、どちらが 優先するかをめぐる質疑が行われ、2月8日の衆院予算委員会で岩城光英法相(当時)は どちらが有効かを答弁しませんでした。

国際仲裁法廷の判決 は賠償命令であつて、企業側が勝っても、直接、政府に政策変更を 求めるものではありません。しかし、敗訴した国が判決に沿って政策を変えなければ、また訴訟の対象となり、いつまでも損害賠償を 求められ続けることになります。結局、巨額 賠償を通じて多国籍企業の言いなりにさせられます。

ISDS条項は国民の暮らし、安全も国家主権も危うくする仕組みです。しかも米国が 中心となるTPPはISDS条項をいっそう危険なものにします。

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