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zoom RSS 世界動かしたヒバクシャ 核兵器禁止条約採択に寄せて  宮原 哲朗

<<   作成日時 : 2017/08/08 22:10   >>

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国連の核兵器禁止条約制定に向けた交渉会議は、7月7日、国連加盟国の約3分の2の賛成で核兵器禁止条約を採択しました。条約の採択に立ち会ったマスコミは、「被爆者世界を動かす」と報じています。

条約は核兵器のない世界を目指し、核兵器の使用、開発、実験、製造、取得、保有、貯蔵、移転などを幅広く禁止したうえで、核抑止の根幹とされる 「使用するとの威嚇」も禁止すると明記しました。交渉会議の議長を務めたコスタリカのホワイト軍縮大使は「条約は核兵器を禁止する規範になる」と述べています。

条約の成立には被爆者の果たした役割が大きく、条約の前文には「核兵器使用の被害者(ヒバクシャ)にもたらされる、受け入れがたい苦しみと被害に留意し」と明記されています。

被爆者の努力が前文に記された

私たちは被爆者とともに、国に対して、15年以上にわたり原爆症認定裁判をたたかってきましたが、裁判の最大の争点は国による原爆被書の過小評価でした。その経験を踏まえて私が特に注目したのは、条約の前文に、核兵器の全面的廃絶に向けて「ヒバクシャが行っている努力を認識し」と明記されたことでした。

日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)は1956年の結成時に「世界ヘの挨拶」と題し、「私たちは自らを救うとともに、私たちの体験をとおして人類の危機を救おう」と宣言し、核兵器の廃絶をその運動の原点としました。被団協はその後も78年から88年にかけて3回開催された「国連軍縮特別総会」や、96年に下された国際司法裁判所の勧告的意見への運動をはじめ、多方面にわたる国際活動を旺盛に展開してきました。

今回の条約に向けた動きの背景には、核兵器国による核軍縮が一向に進展しないことに対する非核兵器国の強 い不満がありました。 その具体的な現れは、オーストリアやメキシコなどの非核兵器国が、2013年3月から3回にわたり開催した「核兵器の人道的影響に関する国際会議」でした。この会議を通じて非核兵器国は、国家の安全保障より人類全体の生存を守ることの重要性、つまり「核兵器が国際人道法に違反する非人道的な兵器である」という国際世論作りに成功しました。「核兵器に汚名を着せる(stigmatize)」ことに成功したのです。

そしてこの国際会議に参加し、被爆実態を訴え続けた被爆者の証言は会議全体の基調を作り、また300万名近 い「ヒバクシャ国際署名」は条約の採択を強く後押ししました。

終わりの始まり人類生存の希望

この条約 により核兵器は禁止されますが、まだ廃絶されたわけではありません。カナダ在住の被爆者のサーロー節子さんの言葉を借りれば「核兵器の終わりの始まり」なのです。

今後は世界の市民の声を一層強めて、核兵器国やその同盟国を追い詰めることが重要となります。とりわけ被爆国でありながら今回の会議の冒頭で退席し、条約に署名することはないと宣言し、米国の核の傘に頼る安全保障政策を変えようとしない日本政府に対する働きかけは重要です。日本政府に対する被爆者をはじめ世界の人々 の落胆と批判は強く、「あなたがここにいてほしい」という英語のメッセージが添えられた折り鶴が、日本代表の席に置かれたことは記憶に新しいことです。

自らの被爆体験を文学の領域まで高めた作家の林京子さんは今年2月に死去しました。生前の彼女と対談した文学研究者の島村輝氏はこう紹介しています。林さんが書いたのは「被爆とはその瞬間の出来事だけではなく、むしろその後の時間のほうが長い」ことであり、「『長い時間をかけた人間の経験』の後に残ったものが『希望』なのかもしれない」(岩波プツクレツト『被爆を生きて』)。

今回採択された核兵器禁止条約は、被爆者のみならず、必ずや人類の生存に希望をもたらすものとなるでしよう。

(みやはら・てつろう 原爆症認定集団訴訟・全国弁護団連絡会事務局長)

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